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64 Trashed(Butler, Gillan, Iommi, Ward) 酔ってすっかり出来上がり、ハッピ−過ぎるほどのいい気分だった。行きつけのパブからゴムボートで運河を下って帰宅の途中、ちょっと冒険したい気が起こり、僕のフォードでレースコースを何周か走ってみることにした。いや、本当にその時は僕の車だと思ってたんだ。進取の気性に富む我らのツアマネ、ポール・クラークが、セッション中みんなが使えるようにとオークションで買ってくれた内の1台だ。レンタルよりずっと安くついたし、レコーディングが終わったらまた売り払う予定だった。 さて、どこまで話したっけ? そうそう、リチャード・ブランソンがマナースタジオ(オックスフォード近郊にある、彼が経営する宿泊施設付きのスタジオ)の一角に設置してくれたゴーカート用レーストラックだった。集まったのはスタジオ施設スタッフの淑女の皆様、ピーター・レスティー(トミー・アイオミのギターテク)、そして仏教信徒の庭師“アブラムシ”イアンで、それぞれ観衆、タイムキーパーおよび運転を務める。僕が走り終えた後、他のみんなも順番に走って、僕の記録に挑戦することになっていたのだ。 ところが僕の走行中にちょっとしたアクシデントが起こった。積んであったタイアにぶつかり、崩れたタイヤを次の周でひいてしまい、その反動でいきなり横すべり、高スピードのまま天地転倒しながらかなりの距離を跳んで、プールの数センチ前でやっと止まった。 宙吊りの状態で、全身を支えているシートベルトを外して車の外に脱出するのにはかなり時間がかかったから、もしそのままプールに突っ込んでいたら今頃は水死していただろう。もちろんいつも安全に気を遣っている僕だから、ヘルメットはちゃんとかぶっていたのが幸運だった。翌朝僕のテントの側の湖をバイクでジャンプしようと思い、地面に傾斜を造っているところだったので、バイク(オッサ250)と一緒にメットも用意してあったのだった。翌朝には体調も完璧とは言えない状態だったので、そのプロジェクトは放棄されたが、代わりにスタジオに行って、前日トニー、ギーザー、ビルが録音したトラックに合わせてこの曲を書いた。 ところでその車が僕のものだと思っていたのは実は間違いだったと、その後判明した。どうやらビル・ワードの車だったらしく、翌日僕のボートが姿を消したのも、それで(何となく)説明がつく。盗まれたものと思って警察にも通報したところ、その行方を追跡してくれる様子はまったくなく、「それよりサインをもらえますか?」と頼まれる始末。どうやら僕はこのところ近隣の平和を乱す一連の「事件」に関与しているのではないかと、疑われていたようだ。 そのボートが実は僕自身よりもっとボロボロの状態になっていた(無茶苦茶な仕返しだ)と分かったのは、それから何ヶ月も経ってからの事だった。加害者の名は出さないが、それにしてもちょっとやり過ぎだぜ、お前ら。まあいいや、過去のことは許し、そして忘れるのが一番。だが事件の翌日、新聞社の取材に対し、ビルの車(本当にごめん、ビル!)の残骸の前で、いかにも「犯人は私です」という顔でポーズをとって写真に納まったギーザーの行動は釈明の余地がない。あんな子供っぽいバカな行動、僕は35歳で卒業したぞ。 Trashed(Butler, Gillan, Iommi, Ward) It really was a meeting I had started pretty good and I was feeling my way Ooh Mr. Miracle you saved me from some pain So we went back to the bar and hit the bottle again |
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