Dear Friends

第34回: 泣く理由

2004年3月

親愛なる友よ、

北米ツアーを観に来てくれたみんな、ありがとう。今年中にもう一度アメリカをツアーする計画が進んでいるようで、嬉しい限りだ。つい最近読者からの質問の答えに書いた通り、ファンにとっての理想的な会場とは自分の住んでる街の劇場だろうが(できればビールはタダで入場料も割引が効くともっといい?)ツアーの日数が限られているからそんな上手いことには滅多にならない。でもなるべくみんなの希望に応えるようにしたい。さて一方音楽業界の権力者達は、ライブコンサートというジャンルがこんなに栄えている理由がわからず、以前に増して混乱状態。そのうぬぼれさえ捨てれてくれればと思う。いつものことだが、音楽そのものを聴けばすべて明らかなのに。

ツアーの評判はどれもとても好意的で、あちこちのウェブサイトにレポートを送ってくれたみんなにも(そしてそれを集めておいてくれたレズリーにも)お礼を言いたい。それから当サイトにお便りを送ってくれたみんなにも。とても嬉しいよ。最近ちょっと(当方では防ぎようのない)技術的なトラブルがあったんだが、愛すべきわが編集者スティーヴ・キャンベルのお陰で最悪の混乱は避けることができ、感謝している。

自宅でのほんの数日の休み中(機材が日本に送られている間に家族と和んだり洗濯をする久々の機会だが、短いのは日頃の悪い行いの報いだ)新聞に目を通し、気狂い沙汰は相変わらず続いているのだと再確認する。

脈管神経外科のエキスパートであり、王立外科大学の試験官かつ大学連合神経外科学委員会の幹事を務めるテレンス・ホープ博士が最近ノッティンガム・ホスピタルから有給停職処分になった。無銭でスープとクルトンのおかわりをした疑いだ。国家医療制度スタッフの停職に関する討議の場で、厚生省副大臣ロード・ワーナーは「その医師が担当する患者は同病院勤務の他の医師が代わって診るため、患者が困るという状況にはならないと、確かな筋から報告を受けている」と述べた。

病院側のスポークスウーマンによると、その月曜に予定されていた手術の内3件は延期されたとのことだ。

さてミネラルウォーターを製造するコカコーラの子会社ダサーニは、現在イギリスで新製品を宣伝中。実はこの製品、普通の水道水をろ過したものにミネラルや味を加えたものだ。ロンドン南東部を源とするこの水、家庭で飲むには半リットルあたり約0.6円。ダサーニの製品は同じ量で200円近くもする...ということは原価に対しての加算額はなんと3000%だ。もちろんダサーニ側は宣伝その他に莫大な経費を負っているだろうし、収益をあげるのは容易ではないかもしれない。とりあえず会社の評判だけは落ちることはないだろう。[ ニュース速報: たった今入ってきた情報によると、この製品に添加されている臭化カリウム(?)が、臭素酸塩(??)に変異していることが分かり、製品はイギリスの市場から回収された。ダサーニ側はこのことによって消費者の健康に害は及ぼされなかったと主張している。臭素酸塩は発ガン性物質だという説もあるんだが。]

最近行われた研究によると、アフリカのライオンの80%が変異型エイズにかかっているという。観察されたある群れでは、これまで年に100頭の子供が生まれていたのが現在は4頭のみだということだ。おーい、聞こえたかい? たったの4頭だって!

これまであちこちで行われた中で最も権威のある調査によると、過去20年でイギリスに生息する鳥類および蝶の50〜70%(もちろん種にもよるが、おおよそでいうと50〜70%)が消えてしまったそうだ。ガーデニング好きの国民だらけの我が国で、知識豊かなアマチュアのボランティアが多数参加してのこういった調査は、とても信憑性の高いものだ。昆虫類に関してのこういった数字を聞くことはあまりないが、僕自身も10年程前、2〜3年の間ににアブラムシとテントウムシの生息パターンに大きな異変が起っていることに気がついた。後者は前者を食べるのだから、この2種の数に関連があるのは不思議ではないが、もっと広範囲での食物連鎖に考えを巡らしてみると心配になる。そのバランスはとてもデリケートなものだから。

僕は煙草はあまり吸わないが、仕事の後はビールを1〜2杯飲みながら、ちょっと吸いたくなるものだ。つまり煙草を吸うのは飲む時だけ(コホン)。さて今回の北米ツアーのリハーサルのため、初日公演の数日前にバンクーバーに飛び、バーでリラックスして長いフライトの疲れを取るのを楽しみにしながら到着。まだ時差ボケのままフォー・シーズンズ・ホテルにチェックインしながらバーの入口に禁煙と書いてあるのを見て、ガッカリしたのなんの。エレベーターの中からドンが「じゃあバーで」と言ったが、僕の答えは「悪いけど禁煙のバーは雰囲気が煙たいから行かないことにしてるんだ。」

間もなくアジア方面へ出発だ。6週間のツアー中に必要な物を全てスーツケース2個に詰めなくちゃならないんだが、オーストラリアのバゲージ取扱エージェントはウルサイので、ほぼ空っぽの状態じゃないと引っかかる。でもそれより留守中に牢屋にぶちこまれた家族や友人達をどうやって釈放してもらうかの方が心配だ。

前回オーストラリアに行った時、ディジェリドゥーという変わった楽器を買ってきた。1年程練習して分かったのは、穴が開いたただの棒じゃないかということ。片方から息を吹き込むと、反対側から下品な音が出てくる仕組だ。

みんな期待してるんだから、もっと頑張ってくれよ!

さて前回の Dear Friends からだいぶ時間がたったよね?

光陰矢のごとし [ 英語では「時は飛び去る」] と言われるが、最近僕が体験したところでは、アメリカの空港のゲートを通過し、次の次元へと進むにはまず靴を脱がなくては飛べない。航空業界側は事態の皮肉さにまったく気付かぬまま。

もうだいぶ遅い時間で、クロウタドリの鳴き声を聞いているところだ。夜が深けるにつれ疲れでだんだん小さくなるものの、戻ってこない伴侶を想うその悲しい声は消えることはない。

宗教をその中心としない我々の社会は文明の発達の過程で、武装過激派や反動主義者、グリーン(環境保護派)やらブルー(保守派)やらアカ(共産主義派)やら、中道主義者や転倒主義者、そして汚職や企業犯罪、その他の日常的問題課題に対処するだけでも大わらわなのに、その騒ぎに今度は色んな神様が顔を突っ込んできて、戦いを正当化する偽りの理由を戦闘員達に与えるからもう大変だ。

「神は我が側に」と叫んで自爆し、街の一角を破壊する兵士。「神はお前達の側にいる」とささやく上官。「あの世は緑の芝生が茂る場所、処女が大勢はべって何でもサービスしてくれる。犠牲者の女子供達はみんな不信者だから気にすることはない。天国に行っても罪悪感に悩まされる必要は何もない。神の意志で行動しただけなのだから。」

が、昨日森の中で聞いたところによると、「連中」もついに気付いたらしい。天国に辿り着いてみると実は処女なんてどこにもおらず、芝生は手入れされずにボウボウのまま、サンダルは流行遅れなんだと。EUが進出してきたお陰で、面倒な書類に記入したり税金も払わなくてはならない。イエス、モハメット、ブッダそしてデイヴィッド・イック [ 自分はイエス・キリストだとか、人類はみな異星人の子孫だ等と突拍子もない事をよく言い出すイギリスの元スポーツ記者 ] はとりあえず通常どおりに営業、そして神様の正体はトニー・ブレアだったと判明(やっぱり)。自殺は罪で、これを犯したものはガルベストン*(下記参照)行きの片道航空券で罰される。爆破テロはその動機となった大義を攻撃し面目を失わせることによって罰せられる。文明化社会の標準で見れば自殺と爆撃はお互いに相容れない行動であり、その2語を繋げて「自爆テロ」と呼ぶことによって正当化されるものではない。

都市社会計画を担う役人さん達が、人権とポリティカル・コレクトネスの名の下に、誰某に関わらずこの世の全ての個人の見解とその権利を尊重しなくてはならないという行政命令を下し、社会に混乱を起こす人間を「少数派の意見(確かに1人しかいないんだったら、それこそ重要な少数派だ)も尊重しなくては」という理由で許容するのなら(そう、いつも必ずしてる)、じゃあ全ての宗教は...ちょっと待った。こりゃちょっと問題だ。全ての政党は...おいちょっと待てよ。多数派団体はこれまであまりにも長く政権を握ってきたから、排除しなくてはならない。また各国(もしくは各地方、もう国というコンセプト自体がEUによって禁止される時代だからね。例えばイングランドなんてもうほぼ存在しないに等しい)の伝統派の参入も許すべきではない。近代の民主主義において多数派は邪魔者でしかない。ホッとひと息。だからみんな安心しきってるんだ。

持久戦の中、神経と筋肉を硬直させ血を沸かせる必要のある時のために、覚えておくといい諺は「奴らの圧力に負けるな!」だ。

さて我が旧友、遺伝子操作農作物が再び頭をもたげたようだ。去年の暮れにはその動きも一時休止し、希望が持てるかのように見えたのはQ&A第65回にも書いた通りなのだが。「...その間に遺伝子操作食品に関するイギリスでの状況がかなり良くなってきたのはご存知だろう。一般市民からの抵抗があまりにも大きいため、しばらくは実施を踏み止まるしかないという状態だ。(もちろん政府の表明は違う理由を述べているが。)嬉しいことにモンサント社は既にプロジェクトを撤回したが、食品業界のフランケンシュタイン連中には油断がならない。こっちが弱くなったと見るといつでも攻めてくるからね。」

その2〜3ヶ月後、政府の発表によると我が国はバイエルの Chardon LL という品種の遺伝子操作トウモロコシの栽培を(家畜の餌に使用するのみだが)始めることになったそうだ。かくして狂牛病や抗生物質、サリドマイド(医薬業界を槍玉にあげるのはやばいか?)といった、食物連鎖だとか風や昆虫による他家受粉を考慮に入れない、無責任かつ無謀な過去の誤りから結局何も学ばぬままだ。この問題はお互い敵の力が自然と弱まるのを狙う戦いになりそうなので、こちらも負けずに「悪の枢軸」について言いたいだけ言い続けてやろう。ここで言う悪の枢軸とは利害関係者達、すなわち製造者、投資者、そして巨大複合農園経営者と、それらの圧力のかかった我が政府のことだ。他にも英国医師協会の面汚しサー・デイヴィッド・カーター、それから科学大臣のロード・セインズブリー(大手スーパーの経営者で、毎年堂々と労働党に20億円もの寄付をしているという話だが、何故そんなことが許されているのか不思議でしょうがない)という強力な敵も揃っている。

このフランケンシュタイン食品に対する抗議は Dear Friends 第31回で書いたが(このページの一番下にまたコピーを添付しておく)、ちなみに連中、我々の敵はフランケンシュタイン食品って言葉自体を嫌がるだろう。自然の理に適わぬ、ひどく危険な実験というイメージがする呼び名だから。果たして真実はどうなのか? 政府は世論も確たる科学的証拠も無視して、更に新たなるフランケンシュタイン農作物栽培のスタートボタンを押してしまった。一般庶民の意見(84%は反対)を考えると、これはもう栽培される作物を畑から引っこ抜く他に手段はなさそうだ。よって刑務所うんぬんと前述した次第。怒ったみんなで一揆だ。

料理の本で有名な、普段は温和な著者デリア・スミスでさえカンカンに怒りまくっている。

深刻な問題だが、連中の策略は一目瞭然だ。昔からミスター・ブレアは不明瞭な言葉で相手を混乱させるプロで、国内での政府の大失策から他に注意をそらすのが基本的戦略だ。(最初の数分間はとても期待できそうな内閣だったのに。)

もちろん我らが救世主に同情することもある。Dear Friends 第11回にも書いた通り[ 現在のところ英語のみ ]。「世界のリーダーというのは大変な仕事だ。人の上に立って以来あいつは自分の主義信条を捨ててしまったと、支持者の目には映るかもしれない。実際はその主義信条をもっと賢い方法で(もしくは公共にとってもっと重要な目的のために)呈示しているだけなんだ...と、我が国で待っている国民に今すぐ説明している暇はない。何しろ世界諸国に対して、私の行動はどれもすべて自分よりもあなた達のことを思ってやってるんですよと納得させようという努力で大忙しの最中なんだから。実に難しい職務だ。」

さっき『持久戦』という言葉を使ったが、相手の神経を擦り切れさせ弱化させるという戦法こそ、悪の大義の兵器庫の中でも最も強力かつ恐るべき武器だ

スティングやその他の人達が熱帯多雨林を救うために行ってきた活動を見るといい。あの運動(少なくともメディアでの取り上げられ方)はちょっと「疲れて」きているという感じがしないか? その「疲れ」こそ運動が長引き「木を守れ!!!」と何度も耳にするにつれて生じた、自然的な弱化の結果だ。

その主旨の正当さや(それより更に重要なのは)それが我々の未来にどんな貢献をしてくれるかを疑ってはいけないが、運動自体は行き詰まっていると認めざるを得ないだろう。

30数年前、誕生したばかりのアムネスティ・インターナショナルに加入しなかったのは、政治的に怪しいと思ったから(今でもそう)だが、その主旨や目標の多くには賛成できる。緑の党にしても同じことだ。

もっと違う、いい方法があると信じる我々にとって行く手は長いが、それでもこれまでのイデオロギー、文化、宗教、そして狂気はいつか(最近の物事のスピードを見ているときっと近い内にだと思わないか?)単なる笑い者になる日が来るだろう。長い歴史の中では全てがそうなる - 人間は常に自らのルーツに不満を覚え反発するものだから。どこを向いても争いだらけの今日、我々には倫理的および知的な意味での闘争が(これまで以上に)差し迫っている。ここは弱い者いじめをする連中への反対同盟しかない。ああインターネットがあってよかった。

わが娘グレースがまだ小さい頃、初めて教えてくれたジョーク:

「パパ、1本しか腕がない漁師のジョーク知ってる? こーーーんなデッカイ魚を捕まえたんだって!!!」

大爆笑(だろ?) その漁師の名前を言うのを彼女は忘れてたけど。

「デリケートなバランス」について前述した。何故だかよく分からないサブリミナルな刺激で思い出した。北大西洋上の民間空路に迷い込んだ気象観測気球を打ち落とそうとして見事に失敗した某空軍(恥をかかないですむよう、特定はしない)の華麗かつ物々しい騒ぎを。部下に「単なる気象観測気球ですから、その内にまた空路から反れるか落ちるかのどちらかでしょう」と言われて激怒したお偉いさんがいたっけ。

* さて以下のメールをこの場で公表すべきかどうかは(触らぬ神に祟りなしか、それとも僕自身の激しい嫌悪感とどちらが重要か)少し迷った。この件に関しては皆さんの意見を聞きたく、特にその場に居合わせたという人からのお便りを待っている。当日僕の左側(スティーヴ側)でちょっとした騒ぎがあり、警官が数人観客の中に割り込んでいったのを覚えている。果たしてそれがこの事件だったのかどうかは分からないが。 .

個人特定できないようにメール発信者の名前は削除した。また彼の個人的意見が書かれた箇所も一つ抜かした。冷静な控えめの表現の方が効果的だろうと考えての判断だ。

- 転送メール -
差出人:"info@deep-purple.com"
発信時間:Sun, 22 Feb 2004 19:20:28 +0000
件名:[Fwd: テキサス・ガルベストン公演]

差出人:******@aol.com
発信時間:Sun, 22 Feb 2004 18.08.20 +00:00
宛先:info@deep-purple.com
件名: テキサス・ガルベストン公演

バンドのメンバーには読んでもらえないだろうということは承知の上でこのメールを書いています。ただ昨夜の公演で何が起ったかを誰かに聞いて頂きたい次第です。

私は妻のニコルと共に昨夜の公演を観に行き、ステージ前の柵の近く(2列目)に場所を獲得することができました。僕は白人男性、ニコルは黒人女性です。コンサートの最中、近くにいた女性が妻の被っていた謝肉祭のカーニバルの仮面を剥ぎ取り、私のことを「nigger lover」と罵ったところ、柵の内側にいた警官がこの女性に対し退場命令を下しました。一度はそれに従ったその女性ですが、再びグダグダと罵り始め、同時に近くの男性が私に向かって「そのニガーの牝犬を俺の側から遠ざけろ」と言うのです。もちろん僕にとってはショックなことで、また例の警官を探したのですが、今度は私と妻の方が退場するよう命令されました。大変不公平ではあるものの、そんな場に留まりたい訳もなく、外に出ました。

僕もショックを受けましたが、妻の受けた傷はもっと深刻なものでした。憤りと恥ずかしさとショックから、放心状態でコンサート会場を後にしました。

当然ながらこれはバンドの責任では全くありません。これまでも2人でディープ・パープルを観に行きましたが、いつも楽しむことができました。このメールをバンドの誰かに読んで頂ければと思い、妻には内緒で書きました。イアンその他バンドのメンバーから何か言葉を頂ければ、この不幸な事件で彼女が受けた傷もいくらか癒されるかと思います。

また近い内に(ガルベストンじゃなくて)ヒューストンでお目にかかれるのを楽しみにしています。

泣き終わったらまた書くことにする。

Cheers for now,
Ian Gillan

Copyright (c) Ian Gillan 2004

PS. 約束通り、Dear Friends 第31回からの抜粋を添付しておく。

遺伝子組み換え食品は既に我々の食卓に入り込んで来ている。バナナにはその点についての注意書きなんて付いてこないだろう? 貼ってあるのは生産者の銘柄のシールのみ。いや、これもちゃんとチェックする価値あり...チキータ・バナナか...う〜ん、美味しそうな名前!

遺伝子操作の支配者達はアフリカその他の貧しい国を援助したいのだそうだ。が、既に世界中で食料が余剰の状態な上に、噴霧器や繁殖力のない種子にかかる追加のコストは、これらの貧しい人達の負債を増やし、その結果として敵にますます恩を借りることになるだけだ。そう、そろそろ「敵」という言葉を使う時期がやってきた。

ジンバブエを見るがいい。かつて「アフリカの胃袋」と誉め称えられたこの国だが、(外部の助けで「自国から救ってもらった」り「解放してもらった」他の諸国とはまったく逆に)驚く程の無関心・無干渉のお陰で、今では経済的に破綻した、貧しい一国と化してしまった。それこそ繁殖力のない種子を増やすにはピッタリの肥えた土地、永遠に負債から抜け出すことは出来ないだろう。有機農業および従来の方法で栽培されてきた作物はやがて撲滅し、選択の余地は永遠に消えてしまう。カナダで起こっていることを見れば分る。が、ライセンス料さえ払えば、我々みんなが救われるんだ...

本当に本当なのか? アメリカで遺伝子組み換え作物を栽培中の農場400箇所を調査した結果、収穫は以前からまったく上がらず、作物の栄養価もまったく上がらず、噴霧された殺虫剤の量もまったく減っていないそうだ。そうだとしたら、まだ実験段階にあり、予見の限り逆行が不可能な上に大変な損害を招く恐れのあるこの危険な事業を促進しようとする唯一の理由は、それによって得られる利益だろうという結論しか出ない。(いや、この社会の中で生ずる利益の全てが悪いと言ってるんじゃないよ。)奴らを何とか止めさせなくてはいけない。これに反対する政治家なら、どの政党でもいい、僕は一票を入れよう。

カナダの全国農業連合の会長、スチュワート・ウェルズによると、期待されていた収穫高の増加およびコストの削減は実現していないとのことで、「賞賛を浴びたこの科学革命が唯一もたらしたものは、支出の増加、汚染の心配(農場間の境界線は、鳥やハチには通用しない)、そして最も深刻なのは今日の我々の食品生産に使われるべきではない、有毒度の高い化学物質が再度使用されるようになったこと」だそうだ。

イギリスの遺伝子操作科学調査委員会の顔ぶれには、モンサントやシンジェンタといったバイテクの大手会社に雇われた科学者がズラッと並んでいる。なんと信じられないことに、よりによってモンサント社のアンドリュー・コックバーン博士が、委員会の報告書の第一稿をまとめるよう委任された時点で、委員会の数少ない独立派の一人、ニューカッスル大学の環境農業学の教授であるカルロ・リーファート博士は辞任を決意した。(その気持ちはよく分る。)そんな報告書だ、遺伝子組み換え農業に対し、イギリスのドアは広く開いている。

先頭に立ってフランケンシュタイン作物を栽培した国、カナダのスチュワート・ウェルズは、我々は気が狂ってるとしか考えられないと言っている。

この問題があちこちで話題となり、人民を困惑させようと反復攻撃に拍車がかかった結果、我々は(いつものように)ただただ当惑するのみだろう。それによって利益を得られる連中が輸入禁止や経済的制裁をほのめかし、最終的にこの不味い材料のゴッタ煮を無理矢理食わされるのは我々、誰かさんは大儲け。

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