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DF 33 ブラジルでご機嫌2003年11月 親愛なる友よ、 間近に控えたブラジルツアーについて僕は gruntled だと書いたけど、もちろん「楽しみだ」という意味で使った単語だった。超ご機嫌とまでいかなかったにせよ。 Gruntled とは幸せ、満足、ご機嫌といった意味の単語で(糞まみれのブタを表す擬音語?)不安が去った後の安心や至福感を表す。逆に disgruntled とは焦らされて苛々したり不満な状態を示す。ずっと昔からこの2つの形容詞は字面とまったく逆だ[注1] と言い続けてきたが、それ見たことか、驚いて「ブラジルは嫌いなんですか? 何故?」という苦情のメールをくれた人がたくさんいた。 ブラジルは大好きだし、今回もとても楽しかった。Gruntled と言ったのは、幸せという意味だ。 Gruntled はオックスフォード英語辞典に収録されていない言葉の一例にすぎない。逆否定形というのか、何と呼んでもいいけど、これのどこがいけないんだろう。例えば dulating は気の抜けた、平坦な、乱れのないといった意味で、undulating(揺れ動く、波打つ、高まるの意)の反意語だ。 Overstandable だと言うしかない。[注2] The ripples in the river It's an old abandoned route 家にいる時はほぼ毎日、自分だけの秘密の場所* に行ってこんなことを考えている。ツアー中はその森のまた別の場所にいる僕だ。 僕の犬...そう、彼女にとって僕が「私の主人」であるのと同じ様に、僕にとって彼女は「僕の犬」だ。ちょっと脱線してその件を... 僕達両者は切り離すことのできない、お互いに依存する共生の関係にある。お互いを必要としているのだ。僕が散歩したくなると(習慣になっている訳ではなく気が向いた時に行くことにしている)ブーツをはくといった微妙な素振りに気付くし、僕がスタジオの屋根から落ちてくるのを眺めながら空中で一時停止するのを待ったり、そんな時だ、彼女が冒険の匂いを嗅ぎつけるのは。 それまで遊んでいた本や電動ドリル(ボーダーコリーはとても賢いんだ)を放り投げ、あくびをしてストレッチし、そして...既にお出かけ体勢! 首をかしげ、片耳をピンと立て、待ちきれなさそうにちょっと荒い息で「早く行こうよ!!!」 どうしていつも分かるんだろう? ツアーに出かける直前に羊たちが姿を消した。不思議だ。夏の間ずっと羊たちと本能的な儀式を楽しんでいたミーガンは、やっと手なずけたみんながいなくなってしまって悲しそうだった。きっと今頃はウールの魚になってるか、死んでるかだろうという結論に達した。 先週のことだが、魚も食べるという菜食主義者が僕のことを肉食主義者という。僕は肉食主義者じゃなくて全食主義者だよ、でも菜食主義者も食べるけど、という僕の答えに、彼女は不満ではないようだった。 ある深夜2時頃、ハンブルグへ向かって突進するバスの左側の窓から、満月が地球の陰に食されるのを眺めた。そして反対側のシートの下、太陽の位置の方向を覗いてみて、全てハッキリした。 大バカ連合の馬鹿ども(EUの委員会、徹底的に愚かな省、製薬会社の圧力団体)によって今後アスピリンその他の鎮痛剤は子供にものみやすいカプセル状で販売されることになった。一度に32錠までしか買えないのだが、家に帰ったらおたくの赤ちゃんでも簡単に開けて全部のんでしまうってことも大ありだ。 パラセタモールを32錠服用したらどうなるか知ってるかい? すごく危険、それこそ大変なことになる。 前回アメリカに行った際、子供に安全なボトル入りのアスピリン1000錠を8ドルで買ってきた。1錠につき約0.5 ペンスの計算になる。ご参考までにこれは好意的な計算をしたとしても、詐欺のようなイギリスの製品の中でも一番安いものの4分の1の値段だ。我が国のぼろ儲け値段の例をあげてみると、 Boots Aspirin Caplets: 1錠 2.2ペンス 医療部門の話題のついでに、ドクター・ギランのバンジー出産法の説明はしたっけ? あのバカげた(だがスタッフにとっては便利な)仰向けの姿勢で不要な力を使って押す必要もこれでなくなったと、女性の間ではとても好評。 破水したら、単にバンジーを着用して最寄りの屋根から飛び下りるだけ。弾力性のあるロープが伸びる限りの低さに達したら、今度はその反動で母体は重力とは逆の方向へと引き上げられる。一方赤ちゃんは下降で母親の胎内に生じた勢いにより、楽々と母体から離れてそのまま下降を続けるが、へその緒にがバンジーの役目を果たしてちゃんとママの身体に着いたまま。2階の窓で待っているパパもしくは助産婦さんがこのへその緒を切り取り、地上に置かれたトランポリンにより、母と子は数秒後空中で再会。その頃には2人をベッドに運ぶ準備も整っている。 実地試験では、また中に入ってしまったという唯一の失敗例を除きこの出産法は大変素晴らしい結果をもたらしている。 ある朝、目覚めたら最悪の体調。それまで頭が重いだけだった風邪が、渡り鳥のように南下して声帯が充血している。ゲーッ、ゲーッと鳴きながら飛ぶシジュウカラガンの群れの中の一羽のような声しか出ない。音程なんてとんでもない、とりあえず生きてるぞーという表明に音を出すのがせいぜい。幸いこれは10月29日(水)のことだった。 BBCでマンチェスター在住のイラク人がインタビューされていた。故郷の家が襲撃され、家族全員が間違って殺されてしまったという... 「この知らせを聞いた時どんな気持ちでしたか?」と尋ねるジャーナリスト。 テレビのない世界、想像できるかい? さて時間を戻し、10月24日(金)、ロンドンのヒースロー空港での話だ。 コンコルドの最後の商業便が午後4時1分、4時3分、4時5分に着陸したところ。その日は朝から念入りに髪をセットしたバリトンの機長やら航空界・企業のお偉いさん達がテレビ画面でこの一際優れた超音速ジェット旅客機を偲ぶ感情的なコメントを述べていた。有名人もそれぞれの思い出を語り、見物人も泣きながら手を振ってお別れの挨拶をし、地上勤務スタッフおよび手荷物担当部はストを告知する。 観客に向けて優雅に手を振る機長...「もしこの場でこのコンコルドが未来の乗り物として発表されたとしたら、みんな信じるでしょう?」との言葉に、うん、僕だったら信じるよと思った。何故こんなことになったんだろう? それから気付いた。これはイギリス人特有の障害なんだと。イギリスで(主にスコットランド人によって)発明された重要な物は数知れない。だが我々イギリス人はそれをうまく活用する術を知らないのだ。テレビにしろ、列車にしろ、ホバークラフトや垂直離着陸機その他の宙に浮く物にしろ、コンピューターにしろ、神経混乱装置やら(これは僕の発明、まだ開発中)色々ある。 でも機会があればエドウィン・アボットの "Flatland" を読んでみて欲しい。読めば君の人生も変わるかも。 Cheers, ig * Wordography セクションの "Chandra's Coriander" のページを参照のこと Cheers,
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