Dear Friends

DF 32 "Bananas" および "Contact Lost"

2003年9月

誕生日のお祝いメールをたくさんどうもありがとう。これまでに体験した58歳の誕生日の中でも一番疲れる一日だったよ。

"Bananas" の裏ジャケットの写真は、ロジャーが元々オーストラリアの新聞で見つけたもので、それを掲げて「おい、次のアルバムのジャケットの写真見つけたぞ!」と叫んでいるのを一目見て「アルバムのジャケット? そんな新聞の写真使えないよ」と応えた僕だった。もちろんロジャーの方が正しかった、いやほぼ正しかったと言うべきか...と言うのもその写真は結局裏ジャケットに使われたからだ。表側にはブルースが撮ったスナップが使われることになったのだが、インスピレーションの元となったあの写真のインパクトは否定できない。

どの写真にも背景の物語があり、この写真を見て僕の頭に浮かんだのはこのベトナムバナナのどれ1本としてEUに輸入を許される可能性はないだろうなということで...分かった、分かった、前回(7月)の Dear Friends でこの話は十分しただろうって? でもバカバカしい権力(EUの役人の連中)および本当の敵(遺伝子操作種子のライセンス保有者達)の腹黒さは可能な限り攻撃し続けられるべきじゃないかい?

まあこれで止めておくとして、アルバムタイトルは単に言葉のお遊びというだけじゃなく、もっと深い意図があると言いたかっただけだ。 もちろん俺達みんなクレイジーだけど、問題なのはその点じゃない。

"Bananas" のラストナンバーである Contact Lost は、あの悲劇のコロンビア号に搭乗し、NASAのSTS-107ミッションに就いていたクルーに敬意を払うために書かれたものだ。

特にカルパナ・チャウラ隊員は僕達の友人であり、ディープ・パープルが好きでいつも聴いてくれていた。ミッションの間に聴けるようにと、パープルのCDをシャトルに持ち込む許可をとり、毎日12時間の仕事始めに彼女が聴いていた目覚めの音楽の中には "Space Truckin'" が含まれていた。

"Bananas" のレコーディングに入る前の時期、当サイトではカルパナ隊員のご主人であるJ.P. ハリソンの手によるコロンビア号の任務についての記録が掲載されていた。(今でもアーカイブに残っている。[ 訳者注: 現在英語のみ ]

飛行任務中、僕はカルパナにメールを送って、コロンビア号内からの返信も貰った。以下その記録だ:

ハロー、カルパナ、そして他のスペース・トラッカーの皆さん、

現在レコーディング中のロスのスタジオで、毎日皆さんの様子を出来るだけ詳しくチェックしています。

みんなが僕達の上をブンブン飛び回ってると思うと、このスタジオ内の空気にも特別な空気が漂い、新たな次元が加わったようだ。出来上がったCDは絶対送るので、楽しみにしていてね。

今後も飛行の成功を、そしてディープ・パープルの全員および Caramba のスタッフ全員からの敬意を込めて

イアン・ギラン

イアンとその仲間たちへ

メッセージ本当にどうもありがとう。やっと宇宙圏に入り、重心の軸の変化や、素晴らしい光景や、私達の任務を楽しんでいる毎日です。

みんなも頑張ってね!

カルパナ

そして2月1日(土曜日)、コロンビア号が地上に戻ってくる道程であの悲劇が起こった。

みんな声もなくスタジオに何とか辿り着いたものの、その日はレコーディングなんて出来ないことは明らかだった。

スティーヴがスタジオに現れた時点でみんなで無言で抱き合った。そしてスティーヴはまっすぐレコーディング室に向かい、コロンビア号が墜落するのを目撃しながら書いた曲を今すぐ録音したいとマイク・ブラッドフォードに告げた。"Contact Lost" というのがスティーヴの考えていたタイトルだった。

音楽が感情を伝えるのには必ずしも歌詞が必要な訳じゃない。スティーヴ・モーズは、僕達がみんなショックで口も聞けない状態の間に彼のギターで全てを語ってくれた。

僕は永年にわたって色んなニックネームや看板を付けられた。ポップ・ロッカーだった時もあるし、ブルースの叫び人だった時も、ハード&ヘビーロッカーとか、ヘビーメタル・ロッカーとか、化石ロックスターとか、皺だらけの年寄りロッカーとか、クラシック・ロッカーとか、伝説だとか(それは違うよ、ア−サ−王ぐらいの格にならないと伝説とは呼べないよ)アイコン(ため息)なんてのもあるし、他にも色々あったと思うけど覚えてないので失礼。

これらのレッテルの大半は僕が選んで付けたものじゃなく、その時点で自分はどのカテゴリーなのかなんて考えてもいなかった。袋に入れられて店の棚に乗せられたいなんて思ったことは一度もないよ。有名になりたいとかスターになりたいなんて願ったこともない(あ、一度だけ17歳の頃にあったかな?)

レッテルなんて数年おきに新しいジャンルをデッチ挙げてはそれで儲けたい外部の人間が勝手に付けたもので、それ自体はどうぞお好きなようにだけど、そのレッテルを貼られた側は自分のことをそんな風には見ていないってことをお忘れなく。

こうやって自分の座っている部屋を見渡してみると、僕の周りにあるのは全て人間の知恵の産物ばかりだ。

ちなみに宗教の話もしたくないよ、喧嘩になるだけだから。[ 訳者注: "Ted the Mechanic" の歌詞からの引用 ]

ブラジルを皮切りに始まる南米ツアーに向けて荷物をパッキングしながら、今週はちょっと機嫌が悪くてブーたれてる僕なのであった。

Cheers,
Ian Gillan

(c) Ian Gillan 2003

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