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6. シェフィールド・シティ・ホール(1981年)今は引退したこの会場の支配人、ミセス・キャリックだが、現役中は公演後の精算は彼女が自ら担当していた。破損した座席その他、会場側の被った損害を計算して、出演者のギャラから差し引くのだ。談判の相手はポール・ダーウィン、僕達のプロモーター代表兼ツアーマネージャーだ。精算を済ませ、バンドのいる楽屋にやって来た彼が、やれやれ仕事も済んだし、ビールでも飲んでリラックスできる...と一息ついているところへ、既に毛皮のコートを羽織り、帰宅の準備もできたミセス・キャリックが再度登場。(ポケットからは家で待っている旦那さんのためのギネスが2缶覗いている。)
「ちょっとこちらへ来て下さいな!」 それ以上何も言わず、人さし指で呼び寄せるミセス・キャリックに、ポールは「チッ」というジェスチャーと共にビールをテーブルに置き、「すぐ戻ってくるから」と言って席を立つ。
「ほら」と男性トイレを見せられ、そこら中を見渡すポール。長い一日の仕事がやっと終わり、ビールを飲むのを楽しみにしていた彼は、かなり苛立っている。.
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